ナレーション部
2016年9月20日
ナレーション部概要
総本部ナレーション部(部長 松尾摂修)
私たちナレーション部は、宗家が専門部の中に十数年前に新たな部として
追加設置されました。
これは総本部、及び各地区連合会で行われる各種行事、大会等で
司会、ナレーションが体裁よく、尚且つスムーズに大会運営出来るよう
結成されました。
私たちナレーション部はその趣旨に少しで近づけるよう研鑽しています。
現在の活動は、月一回の部会と、年一回のナレーション部発表会、
数年おきに行われる錬成部との二部会発表会です。
又、研修旅行と称し萩(吉田松陰を訪ねて)、鹿児島(幕末の志士、維新の人物、知覧特攻の地を訪ねて)等、親睦と研修を行っています。
現在ナレーション部は6名です。和やかに楽しく活動しています。
ナレーション部員募集しています。
アクセントに気を付け、滑舌良く詩を読むことは、詩吟上達にも役立つと言われています。気兼ねなく部会にお越しください。
後列 松尾部長(白いセーター)と共に桜島を背景に | 松尾部長 |
落語や歌舞伎などでご存知の方が多いと思いますが、
外郎売 (ういろううり)の台詞で発声や滑舌を練習します。漢字交じりの横書き です。早口言葉や発声、滑舌の練習など、言葉の練習、日本語の練習をしましょう。初めはゆっくり確実に腹式呼吸で読みます
貴方はどこまで読めますか?チャレンジしてみてください
外郎売 (ういろううり)
拙者親方と申すは、お立会の内に、ご存知のお方もござりましょうが、お江戸を立って二十里上方、
相州小田原一色町をお過ぎなされて、青物町を上りへお出でなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、只今は剃髪致して円斉と名乗りまする。
元朝より大晦日まで、お手に入れまするこの薬は、昔、陳の国の唐人、外郎といえる者、わが朝へ来たり、
帝へ参内の折から、この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、冠の透き間より取り出だす。
依ってその名を、帝より「透頂香」と賜る。即ち文字には、「透き、頂く、香い」と書いて「とうちんこう」と申す。
只今はこの薬、殊の外世上に広まり、方々に偽看板を出だし、イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、
色々に申せども、平仮名を以って「ういろう」と致せしは、親方円斉ばかり。もしやお立会の内に、
熱海か塔の沢へ湯治にお出でなさるるか、又、伊勢御参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
お上りならば右の方、お下りなれば左側、八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、破風には菊に桐のとうのご紋をご赦免あって、
系図正しき薬でござる。
イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存知ない方には、正身の胡椒の丸呑み、白河夜船。さらば一粒食べかけて、
その気味合いをお目にかけましょう。先ずこの薬を、かように一粒舌の上に乗せまして、腹内へ納めますると、
イヤどうも言えぬわ、胃、心、肺、肝が健やかになりて、薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。
魚、鳥、茸、麺類の食い合わせ、その他、万病即効あること神の如し。さて、この薬、第一の奇妙には、
舌の廻る事が銭独楽が裸足で逃げる。ひょっと舌が廻り出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。そりゃそりゃ、
そらそりゃ、廻って来たわ、廻って来るわ。
アワヤ咽、サタラナ舌にカ牙サ歯音、ハマの二つは唇の軽重、開合爽やかに、アカサタナハマヤラワ、
オコソトノホモヨロヲっと、一つへぎへぎに、へぎ干しはじかみ、盆豆、盆米、盆牛蒡。摘蓼、摘豆、
摘山椒、書写山の社僧正。粉米の生噛み、粉米の生噛み、こん粉米のこ生噛み。繻子、緋繻子、繻子、繻珍。
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親嘉兵衛子嘉兵衛、子嘉兵衛親嘉兵衛。古栗の木の古切り口。雨合羽か、番合羽か、
貴様の脚絆も革脚絆、我等が脚絆も革脚絆。尻革袴のしっ綻びを、三針針長にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ。
河原撫子、野石竹、野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。一寸先のお小仏に、お蹴躓きゃるな、細溝に泥鰌にょろり。
京の生鱈、奈良生真名鰹、ちょと四五貫目。お茶立ちょ茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ、青竹茶筅でお茶ちゃっと立ちゃ。
来るわ来るわ何が来る、高野の山のお柿小僧、狸百匹箸百膳、天目百杯棒八百本。武具、馬具、武具、馬具、三武具馬具、
合わせて武具馬具、六武具馬具。菊、栗、菊、栗、三菊栗、合わせて菊栗、六菊栗。麦、塵、麦、塵、三麦塵、合わせて麦塵、
六麦塵。あの長押の長長刀は、誰が長長刀ぞ。向こうの胡麻殻は、荏の胡麻殻か、真胡麻殻か、あれこそほんの真胡麻殻。がらぴい、
がらぴい風車、起きゃがれ小法師、起きゃがれ小法師、夕べもこぼして、またこぼした。タッポ、タッポ、チリカラ、チリカラ、
スッタポ、タッポタッポ干蛸、落ちたら煮て食うを、煮ても焼いても食われぬものは、五徳、鉄弓、金熊童子に、石熊、石持、
虎熊、虎鱚。中にも東寺の羅生門には、茨木童子が腕栗五合掴んでおむしゃる。かの頼光の膝元去らず。鮒、金柑、椎茸、
定めて後段な、蕎麦切り、素麺、饂飩か、愚鈍な小新発知。小棚の、小下の、小桶に、小味噌が、小有るぞ、小杓子、小持って、
小掬って、小寄こせ。おっと合点だ、心得田圃の川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚は、走って行けば、灸を擦り剥く。三里ばかりか、
藤沢、平塚、大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、早天早々、相州小田原、透頂香。隠れご座らぬ、貴賎群衆の花のお江戸の花外郎。
アレあの花を見て、お心をお和らぎやと言う。産子、這う子に、玉子まで、この外郎のご評判、
ご存知ないとは申されまいまいつぶり、角出せ、棒出せ、ぼうぼう眉に、臼、杵、擂鉢、ばちばち桑原桑原桑原と、
羽目を外して、今日お出での何れも様に、上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せき引っ張り、東方世界の薬の元締、
薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って、外郎は、いらっしゃりませぬか。